イタリア視察(4)マネキンの役割

ウィンドウショッピングをしていると各店イチオシの洋服をマネキンに着せてディスプレイしています。イタリアのマネキンは「のっぺらぼうで頭髪もなし」系がほとんどでした。日本のマネキンは、平たい顔族の日本であるにも関わらず彫りの深い西洋系のイケメン顔に洋服を着せて、「この洋服を着れば、あなたもこんなかっこいい感じになりますよ」的な位置づけですよね。で、買って帰って来てみると「こんなはずじゃなかったorz」。詐欺とは言いませんが、ある種の錯覚をユーザに与えて購買意欲をそそっている気がします。

イタリアでは、住んでいる人種が多様ということもあるのでしょうが、のっぺらぼうの顔に自分自身の顔をイメージさせて、その服が自分に似合うか想像させるツールとしてマネキンが存在しているように思えました。

イタリア視察(3)イタリアの100円ショップ

イギリス、フランス、スペイン等旅行しましたが、イタリアも含めてコンビニを見たことがありません。ネットで検索してみると「日曜日は店を開けてはいけない」「深夜は店を開けてはいけない」といった規制があるため、日本系コンビニの出店が難しいようです。仮に出店できたとしてもヨーロッパ諸国の従業員の権利意識が高いため、残業、休日出勤、クリスマスケーキ等のノルマなど猛反発をくらい撤退を余儀なくされることでしょう。

100円ショップの話でしたね(笑)。

日本の100円ショップのように「えっ、これが百円! コスパ良すぎ!」「へーっ、こんな便利なものがあるんだ」と感じる商品はほとんどなく、昭和の雑貨店さながらの品揃えと工夫のない陳列でした。

外国人観光客が日本のコンビニ、100円ショップの品揃え、サービスレベルに驚くのは日本の便利さは従業員の犠牲の上に成り立っているわけで、ブラックな労働環境には断固としてNOという彼らの労働意識から推測するに、彼らは決して本国に日本同様のコンビニがあることを望んでいないと思います。そして日本人がヨーロッパでコンビニがなくて苛立つのも最初の数日で、その後はなくても平気になってしまうでしょう。

日本は便利すぎる。便利自体は悪いことではないが、労働者の犠牲の上に成り立っている便利ならなくなって結構だと思います。

イタリア視察(2)石畳と物事の本質

ローマテルミニ駅に降り立って、ホテルまで5分の距離をスーツケースを引きずりながら移動する。日本の舗装された道ならスイスイと歩けるが、ローマの石畳だとスーツケースの車輪が石畳の隙間に食い込みなかなか前に進めない。こんな経験も「さすがローマ、古代文明をタイムスリップした感じ」とよい方に解釈してしまう自分は、どれだけオプティミストなのか(笑)

で、この石畳。ずっとタイルのような形状のものを道に貼り付けていると想像していたのだが、石畳を張り替えている現場で目にした石畳の素は、意外な形状。表面上の形だけで物事を認識し、実際の形状への想像が欠如していると本質を見落とすものだとハッとさせられた瞬間だった。

イタリア視察(1)クリスマスと働き方改革

ローマに着いたのは12月22日、クリスマスシーズン真っ盛りでした。イタリア最大の乗降客を誇るテルミニ駅に降り立ったときに目にしたクリスマスツリーは、電飾に彩られた日本で見るそれとは違うことは遠目から見てもすぐに分かりました。近寄ってみるともみの木のデコレーションは「願いごとを書いた紙、紙、紙」。日本で言う絵馬や七夕の短冊に近い感じです。キリスト教信者にとってクリスマスは宗教行事なので、絵馬に近いものであって当然なのだと思いました。

日本では、12月26日になるとクリスマス飾りは一掃され、一気にお正月モード(商戦)へ突入しますが、イタリア(というかヨーロッパ)では、1月中旬までクリスマスソングが街中で流れているそうです。宗教が行動指針(心の拠り所)であるキリスト教やイスラム教信者に対して、宗教行事への関心が比較的薄くよくいえば八百万の神を認め、悪く言えば無宗教に近い日本。安息日は仕事をしないのが当然の国々に対して、宗教観の薄いに日本では「働き方改革」などと政府が旗振りをしたところで、正月三が日が交通機関もストップし、コンビニを含め殆どの店舗がシャッターを下ろすような日は遠い気がしました。 

パリ視察(4)フランス人と自由

パリに観光旅行へ行ってルーブル美術館に行かない人はまずいないのではないでしょうか。

ほんとに広くて毎日何百人という大人が迷子になるというアトラクション的美術館で、すべての展示物を丹念に見ていくには少なくとも1週間はかかると言われています。
また、展示品の入れ替え、貸出が多く「本日(今月)は鑑賞できません」の看板があちこちに立っていますので、1週間連続で通っても見ることのできない作品もありそうです。かくいう私も昨年、今年ともにフェルメールの「レースを編む女」を見ることができませんでした(涙)

ツアー観光客の方のルーブル美術館滞在時間は3時間程度ということもあり、館内をガイドブック片手に走り名作の前で写真を撮っておしまいというもったいない(仕方がないのですが)鑑賞になってしまいます。

上記は「ルーヴル美術館の来館者行動データの分析」という図です。(出展:Louvre Museum’s DNA / senseable.mit.edu)
やはり「モナリザ」「ミロのビーナス」「勝利の女神 ニケ」あたりは外せないですね。

日本人にとって、ルーブル美術館=「モナリザ」といった公式が刷り込まれていますが、革命で自由を手にした自負のあるフランス人にとっては、「民衆を導く自由の女神」>「モナリザ」です。

ギフトショップを覗いても「民衆を導く自由の女神」グッズが「モナリザ」グッズよりも売り場面積、グッズの種類ともに多いのです。

「フランスの労働者は2週間から1ヶ月のバカンスに出かけるのが当たり前」というのを聞くと、日本人は「羨ましい、日本ではありえないこと」と諦め感しか出てこないのですが、自由を勝ち取ったという自負からくる「休む」という権利意識の強さに因るものだと思います。ただその代償としてバカンス時期の納期遅延や担当者と連絡が取れないことはお互い様だから諦めるという割り切り、それに伴う国の経済力低下も仕方がないという緩さが僕自身としてはフランスの好きなところです。
 

パリ視察(3)観客ファーストの真髄

全仏オープンテニスを観戦してきました。
準々決勝初日は、フェデラー vs ワウリンカ戦を観戦。(持っていたチケットは、ナダル vs 錦織戦だったのですが、会場で交換してもらいました 笑)
翌日の準々決勝2日目は、雨のため全試合が翌日に延期という事態にorz 
(ここ20年で2回目のことだそうです 苦笑)

日本だとチケット払い戻しで終わりですが、全仏オープンでは「チケット払い戻し+翌日のセンターコート以外のコートに入場できる」でした。
Wimbledonや全仏オープンは、プラチナチケットなので「チケット払い戻し」より「翌日に観戦できる」を望む人が多いと思うのですが、主催者は前述の対応を行いました。

私は翌日にモン・サン・ミッシェルツアーを組み込んでいたので観戦はできなかったのですが、翌日はどのようにして前日チケット持参者に席をあてがったのかがすごく気になりますが、この神対応は称賛せざるを得ません。

パリ視察(2)日本の国力の低下

昭和の時代、農協主催の団体旅行などで添乗員に率いられぞろぞろと群れをなして海外旅行にでかけ土産物の行商人と見紛われる日本人は、現地の人からは奇異の目で見られ、旅慣れた日本人からは「日本の恥」と切り捨てられていたが、近年ヨーロッパで見かける「お上りさん」集団の多くは中国語か韓国語を話している。

日本人は団体旅行を卒業して個人でヨーロッパを旅しているかといえば、そうではない。ヨーロッパで日本語を耳にする機会は思いの外少ない(個人的には、海外で日本語を聞きたくないので喜ばしいことではあるが)。つまり日本人は海外旅行(特にヨーロッパ)に行かなくなった、いや行けなくなってきてるのではないだろうか?

ここ10数年、平均所得も増えず物価や消費税は上がる日本人の可処分所得は近隣諸国に比べて減ってきていることと、長期の休暇が取りにくい日本の勤務体系、「台風が直撃しようとも、風邪で高熱が出ようとも出勤できないくらいなら死んだほうがマシと考えている日本人」と揶揄されるほどの無駄な勤勉さなどからヨーロッパ旅行などは老後の夢と化しているため、ヨーロッパでは日本人観光客に重きを置いていないようである。

パリ2時間バスツアーの音声ガイドに韓国語、中国語はあるが日本語はないのである。

このまま日本の国力が下がり続け、二等国になるのも時間の問題だろう。

パリ視察(1)障害者スポーツ選手のステータスの違い

テニスの全仏オープン開催期間中ということもあり、地下鉄構内の広告にラコステ、ナイキ、ウィルソン等全仏オープン関係のスポンサー広告が目立っていた。ユニクロも昨年スポンサード契約を結んだ史上最強プレーヤーであるロジャー・フェデラーをメインに以下に掲載する広告を多く目にした。(噂では、ユニクロはフェデラーと10年300億円の契約らしい!)

注目してほしいのが、車いすテニス界のレジェンド国枝慎吾選手は、フェデラー、錦織選手と同等に扱われているということ。国枝選手はグランドスラム22勝(フェデラー選手20勝)であり、日本の記者がフェデラー選手に「錦織(選手)がグランドスラムで優勝するにはどうしたらよいか?」と質問した際の回答が、「日本には国枝選手がいるじゃないか(=グランドスラムの勝ち方を知っている選手が日本にいるんだから、彼から学べばよい)」でした。

フェデラー選手も敬意を表す国枝選手の扱いが、日本企業であるユニクロでさえも日本では小さいという不思議(ユニクロも海外では国枝選手を大きく扱っているのに)。

このことはユニクロが悪いわけではなく、日本人は障害者スポーツを軽んじていて国枝選手に商品価値を見出さないため、ユニクロも費用対効果上国枝選手の扱いを小さくせざるを得ないのではないかと考えてしまうのである。

マレーシア視察(3)配車アプリGrab

ネット上に「マレーシアを旅行するなら 配車アプリGrab は必ずインストールしておくべし」といたるところで書き込まれていたので、半信半疑ながらインストールしてマレーシアへ。
モノレールや電車の停車駅が近い繁華街に行くには車をひろう必要はないんですが、有名なモスクなどは都心部からちょっと離れたところにありタクシーじゃないと行けない観光名所がかなりあります。また1年を通して平均気温35度、湿度90%のマレーシアだと500m歩くのもかなりの体力を消耗します。タクシー需要に台数が追いついていないマレーシアで日本で言う「白タク」は法律的な問題はさておき必要不可欠な存在です。


空港に着いた途端「Grab」の広告がいたるところに見えます。それだけマレーシアでは認知されているアプリになっています。

自分のスマホにGrabをインストール済みとはいえ、できるだけタクシーを使おうと思っていましたが、モスク観光で運悪く礼拝終了時とぶつかるとモスク周辺が礼拝を終えて自宅に戻る人で溢れかえりタクシーなんて捕まえるのは不可能と思え、仕方なく使い方もよくわからいGrabを恐る恐る使ってみました。


目的地を設定します。


近くにいるGrabドライバーが表示されます。表示されている評価が悪ければ他のドライバーを探してもらうことができます。


ドライバーを確定すると料金が表示され、表示された料金に納得できれば「確定」ボタンを押します。

あとはGrabタクシーが来るのを待つだけです。Grabタクシーの現在地が地図上に刻々と表示され、到着予定時刻も表示されます。 タクシーが到着し、自分と目と鼻の先にいてもお互い面識がないのでなかなか配車した車を見つけられない場合は、メッセージや無料電話でやりとりをして見つけることができます。 料金もタクシーより安いので、観光客じゃなくても、というか生活者のほうがGrabサービスが無くなると困るという感じでした。

料金は現金で払ってもいいし、ユーザID作成時にクレジットカード登録が必要なのでクレジットカードで払ってもよいのですが、僕が乗ったドライバーは皆クレジットカードで払ってほしいと言ってきました。こちらとしては後日過請求されていないかの確認とレート変動もあるので現金払いを無理強いしてもよかったんですが、上乗せ請求はされてませんでした。そのへんはGrabがきちんと管理しているんでしょうね。

日本、特に地方では高齢者がスーパーマーケットや病院に行くのがとても不便な状況にあるので(だから免許返納を躊躇する、というか運転できないと生活できない)Grabのようなサービスが普及すると高齢者運転の交通事故が減ると思っています。

マレーシア視察(2)公共交通機関に..

マレーシア国際空港から都心部へ向かうKLエクスプレス内でもなんとなく違和感を感じていたんですが、KLセントラル駅から市内バスやMRTにのってその違和感の正体がわかりました。社内に企業広告がひとつもないことでした。広告ポスター掲載料で儲けようという気がないのか、法律で決まっているのかググってみましたが分かりませんでした。ただ視覚に訴求するポップな広告がない社内は乗ってて気持ちが安らぐことは確かでした。